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つくり手と買い手をつなげる「南町田ファーマーズマーケット」レポート
南町田グランベリーパーク

2023年5月27日、「南町田グランベリーパーク」内にある鶴間公園を会場に第3回「南町田ファーマーズマーケット」が開催されました。地元産の新鮮野菜からこだわりのハンドメイドクラフトまで、つくり手たちの思いが詰まった品々が並んだ同イベントについてレポートします。

 

新しい地元を発見し、地域に新たなつながりをつくるマーケット

 

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顔の見えるコミュニケーションを通じて、地域に新たなつながりをつくり出すことを目的に2022年10月にスタートした「南町田ファーマーズマーケット」。

 

今年4月の開催に続いて3回目の実施となった今回も、町田市や近隣地域で生産活動を行う農家を中心に、クラフト作家や生産者など多様な分野の“つくり手”16組が出店しました。

 

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カラッと気持ちいい晴天に恵まれた当日。会場となった鶴間公園には朝から多くの人出があり、午前10時の開店直後から人だかりをつくる店舗も。少し風を強めた午後になっても客足は途切れず、終日にわたってにぎわいを見せました。

 

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「当イベントを企画するにあたり、出店者とお客さまだけでなく、出店者同士やお客さま同士といった地域のつながりを生み、地域コミュニティを創造・活性化させることを重点に置きました」と話すのは、イベント企画担当者。

 

「『南町田グランベリーパーク』は駅・商業施設・公園が三位一体となり、2019年11月に“まちびらき”をした新しいまちです。これまではもちろん、これからも地域の方々と一緒にまちづくりを続けていくために、この地域について今一度知っていただく機会が大切だと考えました。

 

住んでいても周辺地域のことって案外知らないケースがたくさんあります。“地元”にフォーカスしたマーケットであれば、地域を知るきっかけができて、地域とのつながりも生まれる。それと同時に地域への還元もできて、まちへの愛着を深めていただける。それがこれからのより良いまちづくりにつながると考えています」

 

地域の認知度向上!出店者がマルシェに期待するモノ・コト

 

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▲約1万平方メートルという広大な農地を持つ「横田園」。日本各地からオーダーが入る珍しい植物なども栽培する

 

地域での新たなつながりを求め、初出店した「横田園」の横田直紀さん。南町田で40年以上にわたり、植木の栽培・生産から造園や庭づくり一式までを担う会社の3代目です。

 

「最近はSNSなどを通じて発信することで、全国から問い合わせをいただくようになりました。その一方で、町田市内に植木の生産農家がいるということを、地元の方にあまり知られていないもどかしさを感じていました。

 

このマーケットには今回初めて参加させていただいたのですが、予想以上に多くの客足があって驚いています。農園はどこにあるのか尋ねてくれたり、自宅の植物について相談してくれたり、気軽なコミュニケーションが生まれるのもこういうオープンな場所ならではだと感じました。南町田は僕にとっても地元なので、少しずつでも地域に貢献していけたらうれしいですね」(横田さん)

 

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「僕は伴奏型の障害者支援を軸とした地域活性を見据え、農薬不使用栽培の野菜と卵の生産を行っています。このマーケットに参加することでそういった活動に興味を持っていただけたら」と話すのは、2回目の出店となる「ぷらいどふぁーむ」(神奈川県川崎市)の代表・黛慎吾さん。

 

「マーケットの開催時期と収穫時期が重なってしまうのが悩ましい」としながらも、同イベントへ参加する意義について次のように話します。

 

「前回の出店で、農薬不使用栽培農家同士のつながりができ、有意義な情報交換ができました。そういった横のつながりを得たことは想像以上の収穫で、まだまだ勉強中の私にとっては学ぶことがたくさんありました。お客さまから興味深い情報をいただくことも多く、今後もできる限り参加したいと思っています」(黛さん)

 

「今回も出店してくれてうれしい」「これを目当てに来たのよ」と声をかける来場者が次々と訪れ、陳列されたそばから商品が売れていく様子からも、同店の人気ぶりが窺えました。

 

一朝一夕ではなし得ない、マルシェの成功

 

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同マーケットの実施に大きな影響を与えたのが、神奈川県大和市を拠点に町田市内でも農場上草柳、座間市栗原、更には長野県辰野市でも農場を運営する「農業生産法人 なないろ畑株式会社」の存在です。

 

地域住民がサポーターになって農場を支援する「CSA(Community Supported Agriculture)」スタイルにより、農薬・化学肥料不使用の野菜を育てる同団体同社は、2020年から始まった「つるまパークSDGs落葉大作戦」の立役者でもあります。

 

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▲これまで焼却処分されていた鶴間公園の落ち葉を肥料に有効活用し、地域循環するためのプロジェクト「つるまパークSDGs落葉大作戦」。この肥料で育てた野菜が、公園利用者への提供や鶴間小学校の給食に提供されるなど地域循環型農業を実現してきた。

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同社の代表取締役であり、“ミッチェルさん”の愛称で親しまれる畑中達生(みちお)さんは、「3回目にして、このマーケットを目的に公園へ足を運んでくれる方々が増えてきたように感じる」とにっこり。

 

「マルシェは日本各地で開催されていますが、実はそんなに簡単じゃないんです。集客はもちろん、出店者の確保や利益化など継続するにはたくさんの課題があります。ただ矛盾するようだけれど、その課題をクリアするには時間をかけてやり続けていくしかないんです。

 

僕たちが取り組んでいるCSAや循環型農業もそうですが、まずは動き続けて実績を重ねていく。そこからつながりが生まれれば、たとえ小さなつながりであっても自然と新たな動きが生まれてくる。

 

また、ここだけの取り組みとして終わらせない、という意識を持つことも大切だと考えています。僕は田園都市線を“オーガニックライン”という名前に変えるくらい、このエリアの農業を盛り上げていきたいと思っていて、鶴間公園に立つのもその活動の一端。

 

マルシェも農業もまちづくりもサステナブルも、続けることで周りを巻き込みながら発展していく。こういう活動でまちや地域を牽引しサポートをしてくれる『南町田グランベリーパーク』には感謝していますし、今後も大きな期待をしています」(畑中さん)

地域の資源や才能を育む場として公園を活用する

 

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「鶴間公園は普段から利用者が多く、ベビーカーを利用するご家族連れや愛犬との散歩を楽しむ方々も多くいらっしゃいます。『グランベリーパーク』の中にもベビーカーやペット同伴で入場できるエリアが多くありますが、混雑している場合は安心して歩けないこともあるでしょう。

 

そうした方々にとっても、開放感ある公園という場所で開かれるファーマーズマーケットは気軽に立ち寄りやすいイベントだと考えています。

 

ただ買い物を楽しむだけではなく、マーケットを通じて地域の知られざるストーリーを知っていただけることも大きな魅力。出店者さんの中には、生産活動以外にも地域の取り組みに携わられている方が多いので、そういったことも積極的に発信していただきたいですね。

 

最後に、本マーケットの主催者である鶴間公園指定管理者「TSURUMAパークライフパートナーズ」の多賀恵子さんにもお話を伺いました。

 

「広く発信できるのは、オープンスペースならではの強みだと考えています。公園は新たな体験や文化を発信できる空間であり、まだ知られていない地域の資源や才能を育くむ場所でもあると私たちは考えています。私たちにできることは人々が集う場を提供することですが、地域の声に寄り添ったイベント開催で地域活性化の一端を担っていきたいと思います」(多賀さん)

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URL:
https://gbp.minamimachida-grandberrypark.com/
場所:
グランベリーパーク
writer:
君島有紀
photographer:
君島有紀

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